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ドラマ『沈まぬ太陽』の感想・レビュー!戦後の日本航空における社会派作品!!【名作】

皆さん、こんにちは。

本日は、『ドラマ『沈まぬ太陽』の感想・レビュー!戦後の日本航空における社会派作品!!【名作】』というテーマで書いていきたいと思います。

沈まぬ太陽』(しずまぬたいよう)は、1995年から1999年に『週刊新潮』で連載された、山崎豊子による3編に亘る長編小説。日本航空と、実在する同社社員で同社の労働組合役員である小倉寛太郎の体験に基づいて脚色、再構成されたフィクション社会派作品。単行本・文庫本は700万部を売り上げており、2009年には映画化、2016年にはWOWOWにてテレビドラマ化された。

引用:Wikipedia

今回、この『沈まぬ太陽』というドラマを見るに至った経緯なのですが、尊敬する方が見た方がいいということでおすすめして頂いたというのがきっかけです。映画版とドラマ版があるようですね。私は映画版は見ていないのですが、映画版は渡辺謙さんが主演されているようです。元々は小説だったのですが、それがドラマ化されたようです。

このドラマは『国民航空』というナショナル・フラッグ・キャリアが登場します。所謂JAL(日本航空)がモチーフとなっていると噂されていますが、はっきり言ってJAL以外の何者でもありません。あまり航空業界に詳しくない人であってもJALがモチーフになっているであろうことはドラマを見ていれば一発で分かります笑

単独機の事故として史上最悪の死者を出した日本航空123便墜落事故などがモデルとされており、実際の事故当時のボイスレコーダーの内容も同じように再現されており、これがJALをモチーフとしていなくて何をモチーフとしているのかと思ってしまいます。実在の複数の人物が登場人物のモデルとなったとの推測がなされていますが、作者が公には認めていないので、本人のみぞ知ると言ったところでしょう。しかしながら、作者本人が多くの日本航空関係者にインタビューを実施していることから、やはりJALであるのは間違いないでしょう。

当時、週刊新潮への連載及び映画化に関し、JALの経営陣が強い不快感を示して、週刊新潮への連載中は日本航空機内での取り扱いをやめていたそうですが、もっともかなぁと思ってしまいます。基本的にJAL側にとっては良いことは描かれていないため、お客様に対して悪い印象を抱かせないように機内では取り扱わないというのは納得です。

このドラマは全部で20話となっており、かなりのボリュームであることがわかります。大きく分けて3編からなっており、『アフリカ編』『御巣鷹山編』『会長室編』となっています。

意外かもしれませんが、個人的に一番面白いと感じたのは前半部分である10話くらいまでです。主人公は国民航空の労働組合の委員長として経営陣と対立し、ストライキの一環として『首相フライトを止める』というものがありました。その結果として報復人事として彼はカラチ、テヘラン、ナイロビといった海外のド僻地に左遷されることになります。内規では僻地勤務は『2年まで』と定められていたのですが、彼にはそれは適用されず、10年近い『現代の流刑』を経験することになります。海外赴任中には、母の死に目にも会えず、家庭も崩壊寸前で心身共に枯れ果てている姿が鮮明に描かれています。

大学の同期であり、組合の副委員長である行天が出世街道を歩む中、たった一人異国の地で勤務をすることは並大抵の苦労ではなかったと思います。特にこの時代はまだネットもなければスマホもなく、これと言った娯楽も無い世界です。しかし、主人公の恩地はひたすらに耐え抜きます。

10年間の不当人事に耐え抜いた後も、本社では裏の力が働き、会社を少しでも良くしようという恩地の誠意を踏み躙るような行為がたくさん行われていきます。

目次

感想

私は全20話を2日間かけて一気に見ました笑

戦後の航空会社におけるドラマということで、時代描写が特徴的でした。というか半分時代劇も混じっているのがこのドラマであると言って良いでしょう。具体的には、携帯電話が一切出て来ないことや、登場人物の喫煙率の高さなどです。実際に恩地役である上川さんを中心として実際に吸っている俳優もいたものの、中には吸うマネだけの俳優もおり、そこまでして当時の喫煙率の高さを描写する必要があったか否かは甚だ疑問に感じたところです。

ただ、航空業界を志す者にとっては、再生以前のJALの様子を垣間見れる作品になっているのでこと企業研究として鑑賞するのも悪くないと思いますし、非常に勉強になります。例えるのであれば、あの国民的ドラマ『半沢直樹』のようなものでしょうか。半沢直樹もメガバンクにおける社内問題に立ち向かっていくドラマですが、とても勉強になりますよね。使われている言葉であったり、立ち振る舞いなど見ていて知識が付くような内容になっています。

また、このドラマは非常に大切なことを教えてくれています。労働組合で会社側と戦った結果、海外の僻地をたらい回しにされ、心身共に疲れ果てている恩地を見て、これが恐らくは実際にあったことであると思うと非常に辛いものがありますよね。その中で、自らの信念を曲げることはなく、正義を貫き通す姿は男としてカッコいいの一言ですし、こんな生き方ができたらいいなと惚れ惚れさせられてしまいます。この、最後まで燃え尽きることのない『希望』=『沈まぬ太陽』ということでタイトルを回収しているものと思われます。

ただ、一方で時代のせいか、現代の若者にこれを見せてもなかなか受け入れられないように感じたのもまた事実です。というのも、 終身雇用が当たり前のようになっている世の中であり、転職や好きなことで生きるというのが当たり前になっている現代では、家族と10年近く離れ離れになってしまったり、家庭が崩壊しかけるといった状況はなかなか賛同を得にくいのではないかと思います。

現代であれば、『もうYouTuberやればいいじゃん』『転職すれば?』『そこまでして会社にしがみ付く意味ってなに?』このように思ってしまう人もたくさんいると思いますし、おそらく現代の世の中は既にそっち寄りであることは言わずもがなです。ただ、少なくともこの時代の会社員というのは、入社した会社で骨を埋める覚悟で働き、また会社も定年までなんとか雇用を維持しようとしていたのもまた事実であるように感じます。

10年も家族と別れて僻地勤務が続いたり、イジメとも取れる不当人事を受ける度、私でさえも『もうやめちゃえよー!』と思ってしまうのですが、結局のところ、この作品が伝えたいことというのは『その人の幸せは他人によって測れない』ということであり、『高潔に生きることの尊さ』だったりするのだろうと思います。そして、『今起こっていることは、すべてこれでいいのだ』と思えるかどうかという究極の悟りの境地に至るまでの道筋を、少し照らしてくれているような気がします。

全話を通して、このドラマはお金もかかっているのがよくわかる、非常によくできたドラマで、名作と言われるのも分かる気がします。これから航空業界を目指す人、航空業界にいる人は、操縦士であろうが客室乗務員であろうが文句無しで一度は見ておくべき作品だろうと思います。

きっと人生観の変わる、とてもおすすめできるドラマです。

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